コーヒーは大きく、アラビカ、ロブスタ、リベリカの三原種に分類されます。市場に流通しているのはアラビカとロブスタの2種類がほとんどで、どの品種にも一長一短があり、使う目的と用途がちがいます。
植物としてのコーヒーとは
コーヒーはアカネ科コフィア属に属する多年生の木です。アカネ科は熱帯地方を中心に約500属、6000種が分布する植物群で、その多くには昔から薬効があるとされている。薬効とは、健胃、覚醒、止血、解熱強壮といったところです。
コーヒーの三原種
アラビカ種
アラビカ種はエチオピアのアビシニア高原が原産とされ、はじめは主に薬用として食されていたが、13世紀に入ると焙煎した物を飲用するという習慣が生まれ、16世紀にはアラブ世界からヨーロッパへ、さらには世界中で愛飲されるようになりました。
アラビカ種は全世界で栽培されるコーヒーの約70〜80%を占め、数ある品種の中でストレートで飲める唯一の品種いわれるほど風味、香りに優れています。ただ乾燥や霜害、病虫害に弱く、コーヒーにとって最も恐ろしい病気であるサビ病に弱いため、各国で品種改良がおこなわれてきました。
ロブスタ種
アフリカのコンゴで発見された耐サビ病種で、アラビカ種に比べ強い耐病性を持っています。
ロブスタ種はアラビカ種の栽培に不向きな高温多湿地帯で生産されています。独特の香り(ロブ臭と呼ばれる)と苦味があり、アラビカ種にほんの2〜3割混じるだけで、コーヒー全体をロブスタ色に染め上げてしまうぐらい強烈な個性を持っています。ストレートで飲むのはあまり好まれない傾向が強く、主にインスタントコーヒー(抽出液がアラビカ種の2倍とされている)や缶コーヒー、工業用コーヒーに用いられています。カフェインの含有量はアラビカ種が約1.5%に対してロブスタ種は約3.2%と高いのも特徴です。
リベリカ種
西アフリカはリベリアの原産。様々な環境にもしなやかに順応し栽培しやすいのですが、耐病性もあまり強くなく、味もアラビカ種に劣ることから、わずかに西アフリカの一部の国でしか栽培されていません。日本でも滅多にお目にかかることはない品種です。
市場に流通しているコーヒー豆の割合
国際コーヒー機関の統計によると、コーヒー生産国の自国内消費を除けば、世界に流通しているコーヒー豆は65%がアラビカ種で、35%がロブスタ種とされています。アラビカ種は細長く平べったいのが特徴で、ロブスタ種は丸くずんぐりしており、形状から見分けがつくため両者が混同されることはまずありません。
インドネシアで生産されているコーヒー種の割合
前項でアラビカ種が全世界で栽培されるコーヒーの約70〜80%を占めていると述べましたが、インドネシアではロブスタ種の生産が90%を占めています。その背景には、1877年にサビ病でアラビカ種の大部分が壊滅し、以降サビ病に強いロブスタ種に植え替えて生産する農家が増えました。現在アラビカ種の生産は全体の10%程度しかないのですが、アラビカ種が栽培されている地帯は、より高地産、よりコーヒーに適した土壌の地帯で生産されるようになり、インドネシアのアラビカ種は世界中で絶賛される高品質のものが多くなりました。