葉巻(プレミアムシガー)の味わいはカットの方法や吸い方はもちろん、保管されている状態によっても大きく左右されます。
葉巻を保管する環境ですが、温度がおよそ18〜22度、湿度が68%〜72%で保管するのが適切だと思います。
(葉巻はあくまでも嗜好品なので、国によって少しドライで硬めな葉巻が好まれたり、ちょっとウェットで柔らかい葉巻が好まれたりと、各地域や個人の好みによって多少幅があります)
しかし、日本の気候で1年中理想的な環境で葉巻を保管するというのは専用の保管箱を使用していてもなかなか難しいく、時折気にかけて管理をしてあげる必要があります。
葉巻が乾燥したり、過加湿になってしまうとどうなるのか?どうやって管理すればいいのか?など、今回は葉巻を保管するために必要な道具と管理のコツをご案内したいと思います。
葉巻は乾燥し過ぎるとラッパーが破れたり味わいが辛くなったりする
日本の場合、冬の寒い時期には温度も湿度もかなり低下し、空気も乾燥します。
そのような環境で葉巻を長期間放置すると、葉巻に含まれる水分が飛んでしまい、全体がパリパリの乾燥(ドライ)した状態になり、ラッパーが破れてしまうことがあります。
また、葉巻をカットする時にヘッド(吸い口を作る部分)がボロボロに砕けたり、その衝撃でやはりラッバーが破れてしまう事があります。
ボロボロに破れた吸い口付近のタバコ葉が口に入るのはあまり気持ちのいいものではありませんし、ラッパーの破れが深くバインダーまで達してしまうと、煙がうまく口まで入って来なくなり、場合によっては吸うことすら難しくなります。
また、ラッパーが破れなかったにしても乾燥により味わいがとても辛くなり、本来の味わいからは程遠い、美味しくない葉巻になってしまいます。
ヒュミドール(葉巻の保管箱)から出してすぐにドライになってしまうことはありませんが、裸のままテーブルの上に放置していたり、直射日光の当たる場所に置いておくと早い段階でドライになってしまうので、なるべくそういった場所には長時間置かないようにしてあげてください。
葉巻が過加湿になると燃え方が悪くなったりカビが出たりする
夏場などの高温多湿の環境で葉巻をそのまま放置しておくと、葉巻が湿度を含みすぎて燃え方が悪くなったり、また気温が高いことも相まってカビが発生します。
※「カビ」と一口に言っても、葉巻に生えるカビには生えても問題ないカビと悪いカビがあり、葉巻のラッパーに現れる粉のような白いカビであれば品質に問題はありません。もし保管している葉巻の表面に白いカビが生えていたら、毛質が柔らかな化粧刷毛などでブラッシングしてあげれば簡単に綺麗になります。
また稀にですが、葉巻のラッパー部分に白い点や薄い緑色の、ブラッシングしても取れない染みのようなものが見られることがありますが、これはタバコ葉の日光のあたり具合や堆積発酵時の発酵の進み具合の差でできた自然な色ムラです。カビや虫ではないので、味わいへの影響を心配する必要はありません。
葉巻を長期にわたって保管するなら専用ヒュミドールを用意する
葉巻(プレミアムシガー)の保管には温度や湿度の管理が必要なことから、ヒュミドールと呼ばれる専用の保管箱が販売されています。
ヒュミドールは気密性の高い構造になっていて、外気の環境に影響されにくく、内部の温湿度を一定に保ちやすくなっています。
また、内面がスペイン杉という木材で作られているものが多く、ヒュミドール内の湿度が高ければ杉材がそれを吸収し、逆に低ければ湿度を出して内部の状態をある程度安定させてくれます。
さらに、加湿器と湿度計が備え付けられており(付いていない場合もあります)、湿度計を確認しながら加湿することで、内部の湿度を適度なものに調整することができます。加湿器に含ませる水は、薬局などで売られているミネラルなどの不純物が少ない、精製水がおすすめです。
また、初めて木製のヒュミドールを使用される場合は、加湿器に純水を含ませ、1〜2週間ほどヒュミドール内部の木材に水分を含ませてから、葉巻を入れるようにしてください。購入したばかりの木製のヒュミドールは中の木材が乾いていることが多いので、いきなり葉巻を入れるとドライになってしまいます。こうして前もってヒュミドールの『慣らし』を行うことでスムーズに葉巻を保管できます。
ヒュミドールを使った葉巻の管理の楽しみ方とコツ
とても基本的なことですが、保管している葉巻を定期的に見るようにしてください。
具体的には2、3日に一回、ヒュミドールを開けて中に保存している葉巻の状態を確認してあげることが大切です。
コンスタントに中の状態を確認してあげることは、ヒュミドールの中の葉巻を乾燥や過加湿、それに伴うカビの被害などを減らしたり防ぐことに役立ちます。
またヒュミドール内の、ある程度の空気の入れ替えも葉巻の熟成には必要なので2、3日に一回ヒュミドールを開けて新鮮な空気に触れさせてあげてください。平日は忙しくてなかなかヒュミドールを開ける時間がない場合は、週末に一度でも構わないので、とにかく時々葉巻の状態を気にかけて様子を見てあげるようにしてください。
そして時間に余裕がある時で構わないので、時々保管している葉巻の配置を変えて、湿度と空気が満遍なく行き渡るようにローテーションしてあげてください。葉巻を箱のまま保管しているなら箱の配置を変えてみたり(箱のまま保管するのであればそれほど頻繁に配置を変える必要はありません)、個々の葉巻をヒュミドール内で重ねるように並べて保管しているのであれば、上の層の葉巻と下の層の葉巻を入れ替えてあげるなどしてください。
もし保管している葉巻が乾燥気味になっているようであれば、加湿器に精製水を入れて湿度を与えてください。ただし、乾燥気味になった葉巻にはゆっくりと時間をかけて少しずつ湿度を与えてやってください。そうしないとタバコ葉が急激に湿度を吸い込みラッパーが破れてしまいます。
イメージとしては、ラッパー表面からゆっくりと湿度に触れさせて、最終的に真ん中のフィラーの部分までじっくりと湿度を染み込ませるような感じです。加湿器に入れる純水の分量を調整しながら行うとうまく加湿できます。
もしもシガーが過加湿になっているようであれば、加湿器を取り除いてしばらく様子を見てみるか、場合によってはヒュミドールの蓋を一時的に開けておいて、中の湿度を外へ逃してあげてください。また、高温多湿の状態が続くと葉巻に白い粉状のカビが発生することがありますので、白いカビを見つけたら毛質の柔らかいブラシなどを使って綺麗に払ってあげてください。
葉巻の保管・熟成方法には個人の経験や好み、各地域の気候によって違いがあるので、この保管方法が100%正しいという訳ではありません。特に葉巻の熟成の管理思想は個人によって様々です。
ただ、温度18〜22度、湿度68%〜72%をベースとした温湿度管理に気を配り、時々ヒュミドール内の状況を見てコントロールすることで、せっかくの葉巻をダメにするような失敗は防ぐことができると思います。
ヒュミドールはとても管理がしやすいがその分高価なアイテム
葉巻を長期保管するために作られたヒュミドールですが、日本で一般的に流通されているものは、小さめのサイズで10,000円、大きめのサイズで30,000円ほどの商品が多いと思います。(グレードやサイズによってもっと高価なものもあります)
ヒュミドールは高価なものなので、これから葉巻を始められる方やあまりストックされない方が、最初から無理に購入する必要はないと思います。
だんだんと葉巻との付き合いが長くなって、自分好みの管理をしてみたいと思うようになってから、初めて検討されてみるのが一番だと思います。
葉巻のまとめ買いをされる方や、長期保存をお考えの方には楽しくてとても便利なものですが、自分にあったヒュミドールを探す / 選ぶ楽しみを十分堪能してから購入された方が、後々の葉巻との付き合いももっと充実したものになるはずです。
数本程度を手軽に保存するならジップロックパックとタバコ専用の調湿剤
葉巻数本を数日〜数週間だけ保存するのであれば、フリーザーバッグのような少し厚手のジップロックバッグの中に、タバコ専用の調湿剤と葉巻を一緒に入れて保存することをおすすめします。
タバコ専用の調湿剤は、密封性の高い袋や容器の中に入れておくだけで、葉巻の保存に適した湿度を一定に保ってくれる優れもので、葉巻(プレミアムシガー)を取り扱うタバコ専門店などで購入できます。
手軽で便利な保存方法ですが、やはりヒュミドールと比べると外気の影響を受けやすいので、空調の風が直接当たるような場所や、直射日光に当たる場所などには置いておかないようにして、夏の高温多湿の時期や冬の乾燥した時期には早めに吸ってしまうことをおすすめします。
初心者の方にはその日に楽しむ葉巻を毎回タバコ専門店へ買いに行くことをオススメします
葉巻(プレミアムシガー)には、味わいや香りはもちろん、長期的に保存し熟成させたりするなど管理することへの楽しみもあります。
自分好みの葉巻の管理方法を見つけ出すことも葉巻(プレミアムシガー)の醍醐味ですが、まだ葉巻を始めたばかりの方には、いきなりヒュミドールを購入して無理に管理したりせず、お近くの葉巻を販売しているタバコ専門店へ、その都度葉巻を買いに行くのが良いのではないかと思います。
また、お酒を楽しまれる方であればシガーラウンジや葉巻を取り扱っているレストランやバーなどで楽しむのもおすすめです。
お店にはヒュミドールはもちろん葉巻を楽しむためのグッズが揃っているので、まずはお店で葉巻と触れ合ってみて、それから色々とご自身に合った道具を見つけて行くのも葉巻を楽しむスタイルの一つだと思います。
そこからのステップアップとして、ヒュミドールを購入して葉巻を熟成させたり、自分の好みの管理方法を見つけられれば、より葉巻(プレミアムシガー)の楽しみ方が深まると思います。
タバコ専門店やシガーバーの中には、葉巻のイベントや勉強会などを開催しているお店もありますので、ご興味ある方はツイッターやフェイスブックなどでチェックしてみてください。
まとめ
- 葉巻がドライになるとラッパーが破れたり味わいが辛くなったりする
- 葉巻が過加湿になると燃え方が悪くなったりカビが出たりする
- 葉巻を長期にわたって保管するなら専用のヒュミドールを用意する
- ヒュミドールを使った葉巻の管理の楽しみ方とコツ
- ヒュミドールはとても管理がしやすいがその分高価なアイテム
- 数本程度を手軽に保存するならジップロックとヒュミディティパック
- 初心者の方にはその日に楽しむ葉巻を毎回タバコ専門店へ買いに行くことをオススメします